賃貸アパートを借りるときにかかるお金は？

親元を離れ、独立して、初めて一人暮らしをする事になる人にとっては、どんな生活が待っているのだろうと嬉しさ半分、不安半分といった気分ではないでしょうか。初めて一人暮らしをする人の場合、賃貸アパートを借りて、新しい生活を始めるまでに、どんな事をしたら良いのか、どんなものが必要なのか、分からないというのも不安材料の１つとなっているでしょう。そういった中で、不安に感じるもののひとつに、お金の事があるのではないでしょうか。

新しい生活の場として、不動産屋で賃貸アパートの物件を紹介してもらい、入居審査を通って、いよいよ契約となります。契約すると、次は引越しすれば、新しい生活の始まりだと考えがちですが、実は、そうではありません。契約する際には、費用がかかります。その費用が揃わなければ、契約する事が出来ません。

賃貸アパートの物件に契約する事を決め、まず払わなくてはならないのが、契約時にかかる費用です。それが全て揃うと、契約成立になります。その後、引越しになります。ここでも引越しの費用がかかります。そして更に、引越しが終わって新しい生活が始まってからも、家賃とは別に、お金がかかります。

このように、賃貸アパートで新しい生活を始めようと思うと、何かとお金がかかります。いったい、どうしてそんなにお金がかかるのでしょうか。また、いくらぐらいかかるのでしょうか。契約時にかかる費用、引越し時にかかる費用、引越し後の生活が始まってからかかる費用、ひとつひとつ、見ていく事にしましょう。

賃貸アパートを契約する際に、まず費用がかかります。賃貸アパートなどにおいて良く耳にする、礼金、敷金などの事です。礼金とは、賃貸アパートを借りる初期費用の事で、大家への謝礼の意が込められた費用になります。殆どの場合、家賃の２ヶ月分を支払う事になっています。しかし、近年では、礼金がいらなかったり、１ヶ月分になっていたりするところもあるので、物件や不動産屋によって費用が変わってきます。また、この礼金というのは、関東にしか存在しません。関西では礼金が無く、敷金に含まれてしまっています。

その敷金は、預け金という意味合いで支払う費用です。退去時に延滞家賃や契約書に定められた補修費用などを差し引いて還って来る費用です。通常は、家賃の１ヶ月から３ヶ月分を支払う事になっています。しかし、関西では、預け金という扱いにはなっていません。関西の敷金は、家賃の３ヶ月から５ヶ月分、中には８ヶ月分というところもありますが、契約で交わされた敷金を支払い、その中から敷引き料金として、２ヶ月から４ヶ月、あるいは、敷金の半額を原状回復費用として払わなくてはなりません。

関東では、礼金と敷金という考え方で、礼金は、大家へのお礼金という考え方から、戻ってこないお金です。しかし、敷金は預けているお金ですから、退去する際に、修復する必要が無い場合や、家賃の滞納を行っていない場合には、戻ってきます。この修復する費用が、原状回復費用と呼ばれている費用で、礼金と敷金を用いている関東では、原状回復費用がその人その人で異なる為、退去時の手続きの煩わしさや、トラブルが起こる場合もあるようです。

それに比べて、関西で用いられている敷金と敷引きでは、そういった煩わしい手続きをなくした考え方です。それが、敷引きです。この敷引きは、原状回復費用を一律に決め、修復しようがしまいが、必ず払わなくてはならない費用としてしまったものです。ですから、綺麗に使っていた部屋も、傷だらけの部屋も、原状回復費用は同じになります。つまり、敷引き料金は同じです。また、敷金は、保証金と呼ばれており、この中に、大家へのお礼金が含まれているという考え方の為、その費用と敷引き費用を引いた残金が戻ってくる仕組みとなっています。

関東では礼金と敷金、関西では敷金が契約時にはかかります。そのほかにも、かかる費用があるのです。

前家賃は、家賃の支払い方法を前払いにしている場合、翌月分として契約時に一緒に払います。また、日割り家賃も同じです。契約した月の月末までの家賃を、契約時に支払わなければなりません。前家賃は１ヶ月分、日割り家賃は最大で１ヶ月分の費用がかかります。また、物件を紹介してもらい、契約するに至った事に対する仲介手数料も必要です。これは、不動産会社に支払う費用です。通常、家賃の１ヶ月分となっています。

更に、保険料、カギの交換費用、消毒代などがあります。保険料とは、火災保険に加入する事が原則義務付けられており、入居の条件としている為、必要になってくる費用となっています。２年に１度払う費用としているのが通常です。１万５千円から２万円が相場ですが、契約時に支払った後、更新すると共に、引越し後も支払わなければならない費用となっています。また、カギの交換費用と消毒代は、入居する際に新しいカギに交換する際にかかる費用と、入居する前に部屋を消毒する費用として支払う事を要求される費用です。１万円から２万円が相場のようです。

礼金と敷金、前家賃、日割り家賃、仲介手数料は、必ず支払わなければならない費用だという事は想像出来ると思いますが、保険料やカギの交換費用や消毒代は必要ないのではないか、または、自費で済ませられないかといった疑問が湧くかもしれません。しかし、契約書に書かれている場合には、支払いを拒否する事は出来ません。

保険料に関しては、火災が起きた場合に、保険に加入していないと困る事になります。また、１つの建物の中に、何十人という別々の生活を送っている人が住んでいるわけですから、ひとりひとりの保険を適用していては、手続きも大変ですし、保証額も違ってしまいます。ですから、保険料は支払いを拒否する事は出来ません。また、カギの交換費用や消毒代も、近年の物騒な事件の多発によって、義務付けている管理者も多く、交換しておいた方が無難です。しかしながら、契約書に記載されていない場合には、義務ではなくなる為、必要なければ支払う必要はありません。しかし、大家への心象を考えると、勧められたら払っておく方が問題なく済むといった事もあるかもしれません。

引越しにかかる費用は、人それぞれです。引越しする際に、どんな形で引っ越すか、どこに引っ越すか、何階に引っ越すかなど、条件によって費用の見積もりが変わってきます。

引越しには、自分の車などを使って引っ越す人と、引越し業者に依頼して行う人といます。自分で車などを使って引越しをする場合には、費用はガソリン費用くらいで、労力に対しての費用は必要ないでしょう。引っ越す先が近場で、荷物も大きなものが無ければ、自分での引越しは十分可能です。契約時に大きな費用がかかり、また、家賃を払っていかなければならない事を考えると、こうしたところで費用を抑える事も必要なのかもしれません。

しかし、距離が遠い人や、荷物の多い人には、自分の車などを使っての引越しは難しいでしょう。そういった場合には、引越し業者に依頼するしかありません。

引越し業者に依頼した場合、単身パックだと２万２千円、２人だと４万５千円くらいが平均的相場のようですが、引越し業者によって価格の付け方が違うので、無料の見積もりサイトを利用して、幾つかの引越し業者の見積もりを取ってみると良いでしょう。見比べて決めるのが、安く済ませるポイントです。しかしながら、見積もり相場が上がるポイントはどこも同じ様です。２日がかりの引越しになる場合には、１日で済む引越しより相場が一気に上がります。また、荷の多さによっても変わってくるようです。ピアノや壊れ易い大きなものなどは、相場を上げる荷となっています。更に、マンションの高層階と低層階では費用が違ってきます。そして、平日に引越しを行うと、いくらか安くなり、土日や祝日は、やはり高くなります。年度の切り替わりによって人の移動が多くなる３月では、他の月に比べると引越しシーズンという事で相場は高いそうです。梱包も、依頼すると高くなるので、費用を抑えたいならば、自分で梱包しましょう。

引越しも無事に済んで、新しい生活が始まって、ひと段落ついても、払わなければならない費用は終わりません。家賃は勿論の事ですが、更新料とそれに伴う更新手数料というものがあります。これは、引越しをして、生活が始まってからかかる費用です。

更新料は、契約を更新するごとに１度、家賃の１ヶ月分を支払わなければならないという費用です。しかし、この更新料に対しては、裁判で争われるケースなども出てきています。

そもそも、更新料とは、契約が満了して、更に契約を継続する為にする手続きに対して支払う費用です。しかし、賃貸アパートなどの契約の場合、借地借家法３条により、「期間の定めの無い契約は３０年を存続期間とする」という定めがあります。よって、３０年までは更新手続きをしなくても継続出来るという事になっています。また、更新料の支払い義務は、法律的にはありません。こうした事から、近年では、更新料をなくしている傾向にあります。しかし、契約書に支払う事を条件としている場合には、支払う必要がありますし、未だに東京首都圏や各地方エリアの主要都市においては、更新料を払わなくてはならない傾向になります。更に、関西においては、更新料を契約時に支払う敷金の中に含めている場合があります。

更に、更新手数料があります。更新手数料は、一般的に賃貸アパートなどの契約期間が２年となっている事によって、２年経って、更に２年契約を継続する為に必要な手続きをする為の必要経費として、不動産屋に支払う費用となっています。更新手数料は、更新料と同様に、更新時に支払います。額は不動産屋によって決められており、相場としては、数万円から家賃の半月分となっています。